1号
ユニバーサルコイリングマシン
本機は東京スプリング製作所(現三菱製鋼株式会社)が国産紡織機械用コイルばねの需要拡大に応え、米国より輸入した最新鋭の機械で、日本に現存する最古の自動コイリングマシンである。また1本ピンを特長とする米国式自動コイリングマシンの草分け(4号機)として世界的にも希少な機械遺産と考えられる。
本機は東京スプリング製作所(現三菱製鋼株式会社)が国産紡織機械用コイルばねの需要拡大に応え、米国より輸入した最新鋭の機械で、日本に現存する最古の自動コイリングマシンである。また1本ピンを特長とする米国式自動コイリングマシンの草分け(4号機)として世界的にも希少な機械遺産と考えられる。
本機は第二次世界大戦前ドイツで開発された2本ピン式自動コイリングマシンで種々の先進的機構を有し、大戦末期にドイツからUボートで輸送され小倉の陸軍工廠に納められたが、戦後GHQにより現所有者の前身である三興線材工業株式会社に貸与の後払い下げられた歴史を有する。本機の性能は当時の民間のコイルばね製造技術に比べ画期的なもので、その後長期間にわたりコイルばね製造に大きな威力を発揮しただけでなく自動機の輸入や国産化を促すなど先導的役割も果たしたと考えられる。
本機は弁ばねの疲労強度を評価するため、トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車株式会社)により設計、試作された疲労試験機で、2個の偏心カムにより2種類のストロークと8個ずつ16個の弁ばねの疲労試験が可能である。星型疲労試験機はドイツに先例があるが、本機は2個のカムを併設することにより駆動軸の動的バランスを改善し高速運転を可能にしたもので、試作機にもかかわらず約半世紀もの使用に耐え、国産弁ばねの品質向上に果たした役割は大きい。この形式の疲労試験機はその後国内試験機メーカーにより製品化されたが本機はその原型とも考えられ、歴史的意義が大きい。
本機は第二次大戦後、自動コイリングマシンの国産化に先駆け西ドイツより輸入された大型の2本ピン式自動コイリングマシンで、戦後の輸入機の中では現存最古のものと考えられる。線送り機構はクラッチ式であるがその特長を活かして長尺ばねの製造など種々の圧縮コイルばねの製造に長年活用された歴史的なコイリングマシンである。
本機はコイリングマシンの原型ともいうべき機械であり、手動で芯金に線材を巻き付けてばね加工を行うものである。線径の太いばね、外径の大きなばねについて、自動機で段取りするよりも早くばねができるというメリットがあり、単品・少量用ながら現在も有効に用いられている。
本機は、戦後の米国市場で圧倒的なシェアを誇っていたTorin社製の線径1.0~1.8mm用1本ピン式コイリングマシンである。アタッチメントを取り付けることにより引張ばねやねじりばねの製造も可能であり、製造から半世紀近く経過した現在も活用されており、歴史的価値が高い。
本機は、最大線径1.5 mmで生産速度は当時の国産機の5~10倍に達する加工能力を持ち、また独特のクラッチ機構により最長7000 mm の線送りが可能であり、長巻ばね製作にも対応できるなど、多くの特長を有する。松尾製作所が1965年に導入して以来40年間、第一線で活躍し歴史的価値が高い。
本機は、圧縮ばね・引張ばね用の荷重試験機であって機械式のシンプルな構造を有し、測定精度が高い。大型の回転式目盛りにより荷重が容易に読み取れ、荷重範囲の切り替えもレバーで容易に行えるなど多くの特長がある。またその後の国産試験機に数々の影響を与えたと考えられ、約半世紀を超えた現在でも使用可能状態にあり、歴史的価値が高い。
本機は、薄板・線材の小物ばね等の成形機であって、クランク機構により材料が供給され、複数のツールのスライドによりばねが成形されるシンプルな構造である。BIHLER社が初めて世に出した特徴的な放射状配置のツールには、ばねによる戻り機構が採用され、部品点数、コンパクト化に工夫が為されている。約半世紀を経た現在でも使用可能状態にあり歴史的価値が高い。
本機は、クランク・セグメント機構を改良して1サイクル中での多段送りを実現し、立体形状を含む様々なアーム形状のねじりコイルばねや種々のフック形状の引張りコイルばねの成形を可能にしたもので、その多機能性や使い易さの点で海外製を上回ると評価され、250台を超える納入実績を有する。また本機はモーター1基で全加工工具を駆動する機械式ばね加工の頂点を極めた機械とも考えられ、技術史的価値が高い。
本機はVF615マシンをベースに開発された本体と後フック起し用の2次加工機からなり、両フック付引張コイルばねの成形を含む多機能機である。加工精度と加工速度、高初張力付け及びフック形状への対応性において抜群の能力を有し、1000台を超える納入実績を有する。海外でもその性能が高く評価され 80年代半ばからの日本のばね機械の海外進出に大きく貢献した点で技術史的のみならず歴史的価値も高い。
本機は、1963年に従来機の線送り機構を複動化して生産性を高めるとともに、ワンウェイクラッチおよびコイリングツールの精度を高めてばねの加工精度と機械の 耐久性を向上させたものである。またツール駆動用のカム調整部を本体外部に配置することにより段取り性を向上させている。このように本機は改良により輸入機を凌ぐ生産性と操作性を実現した国産コイリングマシンの先駆けをなすもので、300台を超える納入実績を有し技術史的価値が高い。
本機は日本で初めて開発、市販された本格的なコンピュータ制御のばね加工機で、カムの調整作業に代り線送り量と成形工具の送り量等を数値的に入力するだけで各種のコイルばねを成形出来るので国内外で高い評価を得、1200台を超える納入実績を有する。また正面パネル上に放射状に配置した工具によりコイリングおよびフックやアームの成形・切断を行う本機の方式はその後の多機能ばね加工機の標準的な形式となったもので技術史的ならびに歴史的価値が高い。
本機は、機械式の小型引張コイルばね加工機でコイリングからフック成形までを自動的に高速で行うことができる。また、ばねの反転とエアー駆動による巻き角度の調整によりフック対向角の制御が可能で自動選別装置による良品・不良品の選別や段取り作業の容易さと相まって市場で高い評価を得ている。本機は、その後の同社の引張コイルばね加工機開発の原点となったもので技術史的価値が高い。
本機はDINに規定されている両端支持はり方式のばね限界値試験機で、薄板試験片中央に荷重を負荷し、永久たわみ量が規定の値になった時の曲げ応力からばね限界値を求めるものである。また支点を電磁加振して精度よくたわみ係数(曲げ弾性係数)を測定することも出来る。ばね限界値試験機としては最も歴史が古く、その後の国産機開発を促した点で技術史的価値が高い。
本機はJISに規定されている片持はり方式のモーメント式ばね限界値試験機で、薄板試験片の自由端に曲げモーメントを負荷することにより曲げ応力を段階的に増加させ永久たわみ量が規定値を超えた時の最大曲げ応力でばね限界値を求めるものである。繰返したわみ式試験機では測定が困難なばね性の高い材料のばね限界値測定用に開発され、たわみ係数(曲げ弾性係数)を必要としないことや試料取付軸が回転するなどの特長を有する。本機は高度成長期の日本で開発され現在も使用されており、技術史的価値が高い。
本機はJISに規定されている片持はり方式の繰返したわみ式ばね限界値試験機で、薄板のほか細線の試験も可能である。これらの試験片の自由端に規定の初期変位を50 回与えて曲げ応力分布を安定化させた後、偏心ローラの調節によりたわみ量を段階的に増加させて永久たわみ量が規定値を超えたときの最大曲げ応力からばね限界値を求めるものである。また、たわみ係数(曲げ弾性係数)は重錘を用いて求める。本機は高度成長期の日本で開発され現在も使用されており、技術史的価値が高い。
本機は1952年米国の電子技術者Clayが発明したクイル式コイリングマシンを1960年にU.S.Baird社が製品化し、旭精機工業が同社と技術提携して国産化したもので、両フックを含む引張りコイルばね等の複雑な形状のばねをマシン単体で成形出来る画期的な自動機であり技術史的価値が高い。また市場での評価が高いクイル型マシンの先駆けとして歴史的価値も高い。
本機は線径20mmの線材に対応可能な国産最大の冷間圧縮コイルばね加工機であり、1972年に開発され「ジャンボ」の愛称を持つ機械式のCM-200を1982年にCNC化したもので、各加工工具の動きを数値制御化して加工精度を高めセットを容易にしている。CMシリーズは1990年頃から中国へ積極的に輸出され、中国ばね機械メーカーに大きな影響を与えたもので、本機は製造年が1996年と比較的新しいが技術史的のみならず歴史的機械の後継機として価値が高い。
本ばねは自動車技術会のばね技術委員会による研究成果を基に乗用車用に開発されたもので、軽量化は元より板間摩擦力を小さくすることで、振動吸収の追従性を向上し小さな振動に対しても十分な減衰効果を発揮させ、乗り心地を改善している。この背景には、正確な重ね板ばねの応力計算法の採用とストレスショットピーニングの適用による疲労強度向上の二つの技術開発がある。本開発以降、枚数が少なく、応力分布は均一かつショットピーニングにより設計応力を高くするという重ね板ばねの軽量化の基本的手法が定着化したことで、本ばねは歴史的並びに技術史的価値が高い。
軽自動車用懸架ばねには省スペースと軽量化及び経済性が強く求められるが、本ばねは各種ばねの中で最もこれらの要求にかない、弾性エネルギーの吸収効率も高いばねとして国産初の量産軽自動車に採用されたものである。その製造には両端つかみ部のセレーションを冷間転造して量産化と強度の向上を図ると共に 当時新技術であったショットピーニングによる疲労強度向上とセッチングによるへたり防止も施してスバルクッションと呼ばれる革命的なサスペンションを実現した。これら新加工技術の確立と日本のモータリゼーション開始に果たした本ばねの意義は技術史的並びに歴史的に高く評価される。
本機は線を芯金に巻きつけてコイル成形を行う機構を持ち 芯金の方向を縦型から横型にしてセット性を容易にし、生産性の向上に寄与したもので、自動機が輸入機主体だった当時において、中小企業にも導入しやすい国産自動機として、ばね業界全体の発展に貢献した。家電製品の普及時期とも重なり、特にテープレコーダやビデオ機器の部品に使われるばねの製造に不可欠な機械として海外も含め多くのばねメーカに採用され、国産自動ばね加工機の初期製品として 歴史的・技術史的価値が高い。
本機はコイルばねの圧縮または引張試験の他線や薄板の引張試験も可能な小型試験機で、同一機種で現存最古のものと考えられる。設置面積が小さく負荷方式は電動または手動で荷重の計測はナイフエッジで支持されたレバー式である。高精度かつ高耐久性のこの試験機は戦前のアムスラー振子型ばね試験機を戦後の自動車産業や家電産業の勃興期に材料試験兼用機に改造したものと考えられる試料破断時の衝撃からナイフエッジを保護するためダンパーを付加するなど独自の改良も見られ 戦後の国産ばね試験機の歩みを示すものとして歴史的・技術史的価値が認められる。
本機は帝人製機株式會社(現ティーエスプレシジョン)が西独ハインツ・フィンツア社との技術提携により製造・販売したZUBシリーズの最初のモデルである。スタンピング装置をプレスとして使用し 最大7個のスライドによる多方向からの2次元フォーミングやリアカム装置による3 次元フォーミングが可能となり、従来のフォーミングマシンでは出来なかった複雑かつ多工程の加工やナット等とのアッセンブリ加工の完全自動化を実現した。マルチフォーミングマシン市場におけるZUBシリーズの国内シェアは70%に及び 薄板ばね業界の発展に貢献した。これらの点は歴史的・技術史的に高く評価される。
本機は発動機用弁ばねやオートバイのフロントサスペンション用ばね等のコイルばねの両端面を同時に研磨する機構を持ち、従来手作業で行われていた端面研磨作業の連続自動化を可能にした。また砥石の全面に被研磨物が当たり砥石の片減りを防止するなど、コイルばねの端面研磨の生産性及び加工精度の向上に大きく貢献した。本機は国産ばね研磨機の草分けのみならず 半世紀以上にわたり稼動しており、国産機の高い生産性と耐久性を実証するものである。
本機は1967年に開発された小型で低価格のコイルばね端面研削機で、砥石の摩耗に応じ砥石位置を下げるダウンフィード方式や湿式研削方式の採用により、研削面の粗さの低減や研削精度の向上を実現したもので、研削時に発生する粉塵の除去も容易である。開発以来改良を重ね、1987年の生産終了までにシリーズ全体で1000台に及ぶ販売実績を誇り、ばね製造への貢献度が非常に高い 本機は稼働中の同型機の中では年式が古く、歴史的・技術史的に高く評価される。
スタビライザは、旋回時に自動車の車体の傾きを抑え、外輪の負荷を低減するばねで、その中空化は中実材に対し30~50%もの軽量化が図れることから 燃費向上に貢献する。中空化は当初シームレス管でも検討されたが、シーム位置を管理すれば電縫管の方が疲労に対する信頼性が高いことから、本ばねは2代目日産バイオレットに採用された。その後、熱処理や新鋼種による高強度化 通電加熱法の開発など次々に技術革新が進められ、自動車の燃費向上への要求が高まった。1980年代の中空スタビライザ生産急拡大の礎を築いた点で本ばねは歴史的・技術史的価値が高い。
本州と四国を道路と鉄道で結ぶ本州四国連絡橋児島・坂出ルート中の長大斜張橋(櫃石島橋と岩黒島橋)には重量が大きい橋桁の地震による振動を抑えるため 多数の皿ばねを用いた弾性固定装置が設置されている。本装置は直径700mm 厚さ32mm 重量72 kg の巨大な皿ばね340 枚からなるスプリングシュー(ばね定数3000 tf/m/ 基)4基/橋で構成され 2橋で2720 枚に及ぶ皿ばねの製作とスプリングシューの性能と安全性を確認した全数荷重試験は未曽有の技術課題を克服して達成されたものである。この耐震固定装置は世界初のみならず30年以上にわたり本州四国間の大動脈を支えており ここで採用された皿ばねは歴史的かつ技術史的価値が高い。
本機はアムスラー型油圧式万能試験機(荷重容量30tf)を国産化したもので、昭和16年に横須賀海軍工廠に納入され、戦後、東海バネ工業㈱に譲渡されて ばねの荷重試験や材料試験に供されて来たものである。計力感度向上のための改良やSI単位表示への目盛板の変更など一部改造が認められるが、主要な機構は原型を留めており、製造以来75年余を経た今日でも年次の校正を受けて実用に供されている。このように本機は歴史的並びに国産試験機の耐久性を示すものとして技術史的価値が高い。
錠前には一般にばねが使用されているが、日本の古典的な錠前である和錠をはじめ、アジア・アフリカ産の古い錠前のロック機構には鍛造された薄板ばねを用いる特徴がある。特に和錠においては錠前鍛冶により複雑なからくり錠へと独自の発展を遂げている。氏は和錠を中心に世界の錠前700点余りを収集・展示しており、本遺産はその中から代表的な錠前30 点を選んだものである。これらは工業化以前のばね技術を伝える貴重な歴史的遺産である。
本機は車両座席用ワイヤー部品の生産においてコイル材から曲げ加工・切断までを全自動で行うことができるため、材料の定尺管理やプレス曲げ工程での投入・排出の作業及び従前の金型が不要になり 生産効率の向上に大きく貢献しワイヤーフォーミング方式への生産工程切替えのきっかけになった。開発以来改良を重ね海外にも輸出され現在に至るまでシリーズ全体で700 台を超える販売実績を有し、当部品製造への貢献度が非常に高い。本機は初号機で現在も稼働中であり歴史的・技術史的にも高く評価される。
本機は抜き・曲げ・絞りの単発加工から順送加工まで対応可能で 汎用性と精度及び生産性に定評がある小型C 型プレスであり、多種多様な薄板ばねの生産を担ってきた1965 年の開発以来改良を重ね 加工能力の充実した汎用クランクプレスシリーズとして現在に至っており、豊富な納入実績からばね製造への貢献が顕著である。本機は稼働中の同型機の中では年式が古く、歴史的・技術史的にも高く評価される。
古式銃の原型又は類似型は欧州に見られるが日本では鉄砲鍛冶の手により特異の発展を遂げている。火縄式銃は天文12 年(1543)に伝来、その後各地で生産され歴史上大きな影響を与えた。燧石着火式の鋼輪式銃は独自の発想で文化9年(1812)に、そして空気式銃は実戦に供せるものが文政2 年(1819)に製作された。銃は銃身・銃床(空気銃は蓄気筒)・機関部(カラクリ)で構成され カラクリには引金と連動する駆動源に各種のばね(弾き金)を用いている。そこから往時の材質・加工状況・駆動機構などが窺える本遺産は研究のために氏が調査・分析した千丁余に及ぶものの中から代表的な古式銃4 丁を選んだものである。これらは工業化以前のばね技術を伝える貴重な歴史的遺産である。
本機は圧縮ばねの自由長を静電容量センサで測定 良品・不良品を選別するとともにコイリング工程を管理する装置であり、測定値全数のグラフ表示 統計値(良品数・不良品数・X・3σ・Cpk)のリアルタイム表示が可能で、生産品の品質管理を飛躍的に省力化させた。またピッチ用モータ軸と連結させることで測定結果をコイリングマシンにフィードバックし 自由長修正ができるため、製品の良品率向上にも貢献している。他社製機械にも接続利用可能で 現在に至るまで1600台超の販売実績を有し、圧縮ばね製造への貢献度が極めて大きく技術史的価値が高い。
本機は、圧縮コイルばね加工における線の送り長さや座巻きからの立上がり・立下がり角度の調整を機械前面で行えるようにすることで段取り作業を著しく容易にした。本所有者では導入当初より、ガス機器用のばねを量産し続けている。シリーズ全体として販売開始(1977 年)以来、後継機種を含めると 2200 台を超える納入実績があり、今なお多くが稼働中である。機能・耐久性で海外製品を凌駕し、ばね業界発展への貢献度は顕著である。当該機は開発初期の機構をとどめる代表的存在で、歴史的・技術史的に高く評価される。
本製品は自動車向け板ばね式ホースクランプとして、1973年の量産開始以来、同一基本形状で量産され作業性改善のため、ねじ留め式からホルダー式 ワンタッチ式へと変化しながらも現在なお幅広く使われ続けている。本製品は、円筒帯板の開口部と反対側付近に三角形状の孔を設けることにより装着時および使用中に円筒の径が変化しても真円形を保ち、ホースの均等締付けを可能にした画期的なものである。シンプルな構造ながら独創的発想、さらに自動車業界以外にも多くの生産現場へと普及したことからも技術史的価値が高い。
本人形の動力源には からくり人形として代表的な「茶運び人形」などに使われていた鯨のひげに替わり南蛮渡来の西洋時計を参考にした手延べ加工の真鍮製ぜんまいばねが使われており、さざえ車・カム・繰り糸を組み合せた構造で、精緻かつ柔らかな動きを実現している。本作品は、からくり人形の最高傑作との評価を得ており 今日の機械・ロボット機構に繋がる技術であるとともに、工業化以前のばね技術を伝える貴重な歴史的遺産である。
本機は現在主流となっている小型汎用タイプの連続式熱風テンパー炉の原型である。ばね成形機に直結することでばね成形から熱処理工程までを省力化させた。ファンにより熱風を攪拌することで炉内の温度分布が安定し均一熱処理が可能になった。またコンベア速度の設定が容易でばねの品質安定に寄与した。省エネルギー性にも優れ軽量で移動させ易く、ばね産業の発展に著しく貢献し、4,000台超の納入実績がある。当該機は初期の機構をとどめており歴史的・技術史的に高く評価される。
日本人の小柄な体型・走りに適した軽くて堅牢かつ蓄積エネルギーとその利用効率の高い板ばね形状と構造の開発を目的とし、2006年のCFRP製板ばね国産化後、義足走行の動作解析にもとづき板ばねの積層繊維配向を変えてばね特性の改良を重ね、また接地部を土踏まず状にアーチ型にして接地位置の安定化をはかり製品化したものである。これらはフィールド競技用義足の国産化とその板ばね改良の経緯を辿り、スポーツ界へのばね機能製品貢献の一端を知る上で社会的・技術史的に貴重なものと考えられる。
本機は 1951年に世界初のドラム式機構として開発された表面処理(ショットピーニング)装置の原形を留めている。構造は 回転遠心力によるショット材噴射機構とワークを回転攪拌させるドラム機構からなり、均一な表面処理および処理後のワーク残留回避性に優れる点から、精度・耐久性・生産効率化に大きく寄与した。 本機はレースカー用弁ばねなど要求性能の高い分野で使用され、 今なお現役最古機として稼働中である。シリーズ累積1500台超の圧倒的シェアと実績を誇り歴史的・技術史的に高く評価される。
本機は旭精機工業株式会社がトランスファープレス機で世界的に定評がある米国のU.S.Baird社と1964年に技術提携して開発されたもので、ダイヘッド装置やスライドおよび加工ユニットを複数搭載でき、タッピングなど二次加工が必要な薄板ばね製品の成形を一台で完結できる多用性と柔軟性に優れた画期的な機械であった。シリーズとして250台超の出荷実績があり、自動車エンジン用ディストリビュータのアームばねのほか、ビデオデッキや炊飯器をはじめとする多種多様な部品の生産に活用され、自動車産業および家電産業の発展に寄与した。本機は開発当初の原形を留めており、歴史的・技術史的に高く評価される。
本機はショットピーニング用ショット材をカットワイヤー方式で製造する契機となった輸入1号機である。従来の鋳物スクラップのショット材には、強度不足による破損や形状不均一からの仕上がり粗さやワークへの残留の課題があった。ばねの高性能化に伴うばね材の高硬度化に対応して、当該ショット材はその均一形状と700HV以上の硬度を実現した革新的なもので、多くのばねメーカーに採用された。20本のワイヤーをローラーで引込み、固定刃と回転刃により切断する構造で、2段変速の回転刃の速度に合わせてワイヤー送り速度を無段階調整し、材料径と同寸法での切断加工を可能にした。 その後、国産機で改良を重ねたが本機は当時の原形を留めており 技術史的に高く評価される。
本機はリング成形機構とプレス切断機構を有するリング成形機RMFシリーズの原形である。その機構は圧縮コイルばね成形機CMシリーズをベースに開発され累計320台超の生産実績を有する。丸線の他に平線によるリングも成形でき、切断金型によりリングの切れ目がハの字やかぎ形なども可能である。従来の帯板材をプレス機で打ち抜く成形法に比べ材料の均質性と歩留りを大幅に向上させた革新的な機械である。ワンウェイクラッチ式の線送り機構は4段階に変速可能であり、かつ変速機を介し切断機構と連動しているため、変速時の切断のタイミングの調整を必要としない。本機はトランスミッション用のリングの生産性向上に貢献するなど、技術史的に高く評価される。