1号
スプリングの設計及び製造
日本で書かれた最初のばね専門書であり、大正末期の出版ながら、現在でも参考になるような各種ばねの実際の設計に役立つ設計法・設計事例・製造法まで幅広く網羅されており、ばね技術史的に大変貴重な文献である。
日本で書かれた最初のばね専門書であり、大正末期の出版ながら、現在でも参考になるような各種ばねの実際の設計に役立つ設計法・設計事例・製造法まで幅広く網羅されており、ばね技術史的に大変貴重な文献である。
当時の鉄道用車輛及び自動車に関する金属・非金属のあらゆるばねについて、その機能・設計計算・製作材料等の項目にわたり学生や実務者向けに意図して書かれた文献である。重ね板ばね・巻きばね・ねじり棒ばね・輪ばね等の理論と設計計算、金属ばね材料・ゴム等の非金属ばね・緩衝装置についてまとめられており、歴史的価値が高い。
鉄道用バネ鋼を含めた様々な鋼材の規格を集約した戦時中の小冊子であり、当時使用されていた鋼材の内容を知ることができ、旧日本軍独自の規格も含まれており、歴史的価値が高い。
「ワールの応力修正係数」で広く知られる著者により、各種ばねの基本的な設計方法がまとめられている。中でもコイルばねの耐久性・耐へたり性・大たわみ・偏心荷重・バックリングの影響など 現在の技術的関心事を半世紀以上も前に取り扱っており、戦後日本のばね設計に関する研究の礎となった歴史的価値の高い文献である。
本書は著者自身の書「Mechanical Springs」(Penton Publishing Company 1944年発行)の改訂新版であり当時最新の研究結果を取り入れ ばね用規格材の諸特性や設計実務上留意すべき事項を掲載して研究用書籍及び設計指南書としての価値を高め ばね技術の発展に大きく寄与したと認められる。
よって初版(ばね技術文献遺産第4号)と共にその関連文献遺産として今後末永く保存されることを願いばね技術文献遺産に認定する。
日本ばね工業会の前身である、日本バネ協会が1952年に発行した記念すべき第1号ばね論文集である。明治時代から第二次大戦後10年の期間にわたり日本におけるばね用材料・ばねの製造方法・関心が高かった技術などを知ることができる貴重な文献であり歴史的意義も大きい。
日本ばね工業会の前身である日本バネ協会主催の視察団が1952年9月から2ヶ月間に渡り米国の材料・ばね・設備・試験機等のメーカーを視察した結果を、表やグラフも交えて技術的内容を中心にまとめた400ページを超える詳細な報告書である。当時の日本のばね業界が、第二次大戦中の技術的鎖国状態から抜け出し、技術先進国であった米国に学ぼうとする真摯な様子を読み取ることができ、戦後日本のばね業界発展の出発点を示した歴史的意義は大きい。
著者の長年の実務経験と研鑽によって得られた知識により当時の最新技術を紹介している。板ばね・巻ばねの設計式をはじめ、ばねの材料・製造・試験法にまで言及しており、B6版にコンパクトにまとめられた簡便な実用書として、ばね技術者に重宝されたと考えられる。
Wahl著「MECHANICAL SPRINGS」と共に知られた名著で、板ばね・皿ばね・コイルばね・ねじりばね等の設計基礎式の導出から、各種ばねの実際の設計に役立つ設計事例まで幅広く網羅しており、戦後日本のばね設計に関する研究の礎となった歴史的価値の高い文献である。
本書はS.Grossの原著(ばね技術文献遺産第8号 独語)の英訳版で、英国のばね技術研究会関係者が監修して原著より6年後に刊行されたが、これによりばね設計のバイブルとして広く活用された歴史的意義を有する。
戦時中の鉄道車両酷使に起因するばね故障は戦後の車両運行の大きな障害となった。この対策の為3年にわたる論議を経て確立したばね補修の新たな作業基準を国鉄(現JR)の各工場に知らしめるのが本書の目的である。またこの論議の過程でばねに関する小史を振返る必要があるとの意見の一致により、さらに1年の調査期間を設けてまとめた結果も記載されている。明治5年の蒸気機関車輸入に始まり鉄道車両用ばね材料規格の変遷を中心に戦前から戦後にかけての民間ばね製造会社の発展史などを含む興味深い記事の数々は、今後の研究者にとって大変貴重である。
本文献は、ばねの疲労強度向上に不可欠なショットピーニング技術に関する解説書である。機械装置、投射材、金属強化理論、現場管理方法などの幅広い分野ならびに各ばねメーカーの各種ばねに対するショットピーニング条件について具体的に記述されており、ショットピーニング技術の黎明期を知ることができ、技術史的価値が高い文献である。
本書は1959年に日本生産性本部の企画のもと、ばね関係の事業経営者、技術者及び学識経験者で編成した視察団が欧米のばね工業並びに関連工業の実態調査結果を報告したものである。その内容は、各種ばねについて製造の実態を図や写真を使って克明に紹介する一方、材料やばね設計に関する調査と考察も含まれており広範囲に亘って当時の日本と比較しながら記述しており、視察の結果、日本の技術レベルが既に欧米のそれと比肩するほどになっているとの見解を述べている。本書は、ばね工業発展の経緯を様々な視点から見る上で歴史的意義が大きい。
本書は焼入技術者であった著者が、破壊試験など多くの工数を費やしていた当時の焼入性評価法に代わるジョミニー試験など簡便・迅速な焼入性試験法について内外の数多くの文献を参考にまとめたものである。熱処理技術者にとり重要なテーマである焼入性評価について多くの図表と事例により平易に且つ具体的に解説されており、B6サイズのコンパクトさと相俟って、現場技術者必携の実用書として普及し、技術史的価値が高い。
本書はトヨタ自動車工業株式會社(現トヨタ自動車株式会社)から1948年に発刊された記念すべき技報の第1巻である。発刊の辞に「自動車工業は敗戦日本に残された随一の総合重工業であり、その育成には日本の最高技術の傾注が必要」とあり、敗戦から逞しく立ち上がろうとする強い気概が感じられる。内容は・懸架用コイルばねのニーアクションによる応力振幅の増加 ・へたり現象と熱処理温度の関係 ・板ばねの荷重撓み計算式の検討など、いずれも現在でも重要な技術課題である。本書は当時の自動車産業界においても、 いかにばね技術の確立が渇望されていたかを示すものであり、技術史的価値が高い。
本書はばね技術研究会草創期メンバーを含む海軍航空技術廠出身の技術者諸氏が昭和13年から昭和20年までを回顧し、材料技術開発に取り組んだ体験を後世に伝える目的でまとめた冊子である。一例として昭和初期には航空エンジン用弁ばね材料のピアノ線はすべて輸入品であったが昭和13年にピアノ線純国産化研究プロジェクトが立ち上り 昭和16年の国産化によりJES規格として制定されたと記録されている。このように本書は戦後日本のばね技術発展の礎となった史実を伝えるものであり、技術史的価値が高い。
本書は第2次世界大戦直前にドイツで刊行されたばねに関する専門書である。板ばね・コイルばね・ねじりばね・皿ばねなどの設計法について記述されており1960年刊行のS.Gross著Berechnung und Gestaltung vonMetallfedern(ばね技術文献遺産第8号)の原著と考えられる。内容は戦前ドイツのばね技術レベルの高さを示しており、戦中~戦後の日本において1949年刊行のA.M.Wahlの著書Mechanical Springs(同 第1号)と共にばねの設計や研究の貴重な参考資料として重んじられた歴史的意義を有する。
本報告書は自動車技術会ばね技術委員会(委員長:亘理 厚 東京大学助教授)の乗用車用3枚重ね板ばねに関する報告書で、ばねの設計・試作・特性評価試験結果をまとめたものである。通産省の委託研究費を受け自動車メーカ・ばねメーカ・大学・公的研究機関の産学官が連携して研究を進めており、当時の乗用車性能向上意欲が強く窺える貴重な研究開発記録である。さらにその成果が初代クラウン(1955年発売)の後輪懸架用板ばね(ばね技術遺産第21号)として結実した点でも歴史的意義が深い。
本書は第2次大戦中に「工業化学實験法叢書」の一冊として金属研究の一権威により執筆され、著者の急逝により戦後に刊行された金属材料試験法全般にわたる解説書である。すなわち金属材料の物理的性質や機械的性質の試験法、金属組織の観察法、 結晶構造解析法等が実践的に記述されている。特に機械的性質の試験法については多くの紙数が割かれており、各種試験機の図解もなされている。これらは我が国の戦時中の材料試験技術を明らかにするだけでなく、ばね関連試験機の変遷を理解する上でも技術史的価値が高い。
本書は我が国初のばね技術専門書「スプリングの設計及製造」 (1923年発行・ばね技術文献遺産第1号)を執筆した著者が、前著の内容に、ばねの種類と用途・設計式の基礎理論と最新の研究成果・設計例・計算用諸表等を加え、末尾に鉄道省や陸・海軍・国内外の学・協会によるばね関連規格等を付したものである。その記述はばねの設計・製造者としての見識で貫かれており第2次大戦後改訂を重ね、ばね技術の総合図書「ばね」の礎を築いた点でも高く評価される。
本書は文献遺産 認定 第1号「スプリングの設計及製造」に継ぎ 同著者によって1931年に刊行された総合的な専門書「ばね」(ばね技術文献遺産第18-1号)を第2次大戦直後に普及を図って復刻改訂したもので 内容の一部を簡略化すると共に付録の諸規定を新たに制定された日本標準規格(JES)のばね関連規格に差し換えて実用性を高めるなど戦後のばね技術者の要望に応えた貢献度は著しい。
本書は第2次大戦直後に改訂された総合的なばねの専門書「ばね」(ばね技術文献遺産18-2号)を再改定したもので付録の日本標準規格(JES)のばね関連規格を日本工業規格(JIS)に差し替えると共に日本国有鉄道車輛局のバネ仕様書および同自動車局のショットピーニング加工仕様書を新たに掲載するなど当時の主要なばね需要分野と新強化技術への関心の高さを示しており技術史的価値が高い。
本書は、海外では第2次大戦前から研究・実用化されていたショットピーニング技術について、それらの実験結果および理論的解説を参照し、その意義・効果・機械装置・実施方法について幅広く解説を加えた著書である。ショットピーニングによる疲労寿命改善効果は繰り返し荷重が作用するあらゆる機械部品にその恩恵を与えとりわけ戦後、ばね製品の性能向上に多大な貢献を果たしてきた。本書はばねの設計・製造にかかわる技術者が参照する座右の書として長く活用され技術史的価値が高い。
本書は1960年当時までの機械設計専門誌(“Product Engineering”)からばね関係記事を抽出して編集されたもので多種多様なばねの設計原理と適用例を掲載し、機械装置の機構図や写真も多く取り入れている。設計計算式をチャート化して使いやすい工夫がこらされており、コンピューターや電卓が普及していない当時のばね技術者にとって実用的な手引書であり技術史的価値が高い。
本書は第2次世界大戦前の欧米の材料試験法と材料試験機を網羅した便覧で、静荷重・動荷重・繰返し荷重による各種試験機のほか特殊な試験機として各種ばね試験機やばね疲労試験機についても写真や構造図を添えて紹介されており、我が国の材料試験機及びばね試験機の起源や国産試験機の技術的背景を知る上で貴重な文献である。
本書は 機械・構造物の多種多様な課題にそれぞれ適した測定法の原理と具体例を紹介しており当時の機械工学諸分野の第一線で活躍した研究者が切磋琢磨し工夫した測定法につき研究会を通してまとめ上げたものである。内容は多岐にわたっており戦後最新の測定技術に接するのが困難な一般の工学者やばね技術者にとって手引書として永く有用であったことから技術史的価値が高い。
本書は1855年創業の英国のばねメーカーHerbert Terry and Sons Limitedの研究開発スタッフRoberts氏が編集したばね設計者及びユーザー向けばね設計・計算解説書である。1947年の初版発行から1958年まで9版を重ねている。各種ばねのばね、定数公式のみならず実際の数値を用いた計算過程を示しているので平易な入門書としての性格を持つ一方、ばね使用上特有な諸問題を取扱っているので実用的・技術史的価値が高い。
本書は長柱、梁、円輪など細長い弾性体の大たわみ問題を系統的に解説した数少ない専門書で 大たわみ曲線の理論解析法と近似解法を示した後、いろいろな大たわみ曲線を単純な大たわみ曲線に分解して解析する方法を示している。本書で示された諸解析は線ばねや各種薄板ばねの大たわみ特性に関わるもので、特に本学会の水野正夫元名誉会員によるコイルばねの座屈曲線解析が1960年当時、最新の大たわみ解析として紹介されていることもばね技術史的に興味深い。
本書は、圧縮コイルばね及び引張りコイルばねの設計簡素化を目的としている。機械要素としてコイルばねを設計する場合ばねの基本性能だけでなく設置スペース、最大荷重、寿命等の様々な制約要件があるが、それらの要件に合致又は近似のものを図表の中から選ぶことにより、所望のコイルばねの設計仕様が見出せるようにしたものである。これにより設計者は試行錯誤的な設計の手間を大幅に省くことができるようになった。本書は設計の手引書として実用的・技術史的価値が高い。
本書は米国のAssociated Spring社がばね設計者及びばねユーザー向けに無償で提供した一連の書籍のひとつである。線ばね、薄板ばね、及びばね作用を持つ機械部品の種別ごとに、使う立場、設計する立場から必要となる知見を詳細に記述している。ばね材料の一覧表には機械的性質に加えてどのようなばねに適しているかを記述しており、ばね設計公式、各種図表と共に利便性を高めている。製品に加えて生産・検査ラインなどに携わっている人々の写真も随所に挿入されており、当時のばね産業の息吹が感じられ、歴史的価値が高い。