各職場を回ってみると,過去トラ(過去に発生したトラブル)一覧表が掲示されていて,
青や黄色のマークが貼ってありますね。これは過去に得意先で引き起こしたトラブルを再
発させないよう,対策が継続的に行われているかどうかをチェックするための道具として
行っているものである。ところがこれだけで充分でしょうか。
実はNOです!本当に再発させないようにするには,道具だけでは何にもならないのである。
1ヶ月に一度職場を見て回り,約束どおりになっている,いない,を見て確認のシールを
貼るだけでは不充分である。本当に再発させないようにするのには,実はラインの責任者の
心構えと絶えざる実行力です。一旦自分のラインで問題を起こしたら,同じ問題を二度と
起こさないという決意が必要で、そのためには安易な約束はできない。そして有効な対策
が見つかったら絶対に守り抜くことである。
これを時間をかけずに,簡単に,継続的に実行する方法として,『1日1部品,問題を
起こした部品を手にとってチェックをして見て下さい』。寸法や仕上がり具合はよいか,
作業方法は約束どおり守られているか,など約束した対策内容と照らしてチェックをする
のである。この程度なら10〜15分あれば充分できるし,どんな忙しい仕事の中でも,1日
10〜15分位の時間は作れるはすである。もしこの位の時間が作れないようなら,貴方は責
任者として失格である。
1日に1部品のチェックができれば,1週間で5部品,1ヶ月で20部品のチェックができる。
これならば仕事に負荷をかけずに,継続的に,確実に,チェックをすることが可能となり,
再発防止につながる。私も現場を回るときは,いつも頭の中に過去トラを思い浮かべながら,
重点的に工程を見るように心掛けている。
例えば,子供が熱いヤカンに触ったとする。たいがいの子供は二度とヤカンに手を出
さないであろう。例えヤカンは冷たくとも。
我々大人が過去の痛い失敗を二度三度と繰り返しているようでは子供以下である!1
日1部品の過去トラのチェックを継続して行う心構えと,実行力が,貴方のラインか
らトラブルを追放します。