Tech322c09
技術者の心得 : 品質管理に関する10ヵ条(その9)
品質管理は自分が日常行っている健康維持と同じである
西畑三樹男 森川 愼
IS, IS NOT で効率の良い問題解決をやれ
組立行程などで問題が発生したとき、皆さんは寸法を測ったり、表面粗さを測ったりして
どの部品が図面どおりになっていないか調べて対策を立てていると思う。
問題(不良)の中には、どの部品が図面どおりに仕上がっているはずなのに原因
がつかめないとか、構成部品が多いときなどは原因究明に時間がかかって大変な場
合がある。こんなときIS, IS NOT と言う考え方でやってみて下さい。
IS,IS NOTとは,アメリカのKepnerとTregoeと言う二人の学者によって考えられた
問題解決法(KT法)のプロセスのステップで,問題分析,原因究明の手法である。
面倒な,難しい手法の話はこの際別として,現場で簡単に使えて,効果の上がる簡略
法(ONE P01NT法)を説明するので活用されたい。
IS ・・・〈問題のあるもの〉
IS NOT ・・・〈問題のなかったもの〉
の双方を比較して相違点を洗いだし,最も可能性があると思われる相違点を解析比
較して真の原因を突き止める。
この簡略法を私達が使う場合は,組立てなどで構成部品が多くて一つひとつの部
品の精度から追っていては時間がかかり,また真の原因がなかなか掴めないような場
合,大変手っ取り早く効率の良いやり方である。
もう少し具体的に説明すると,
- (1) 組替えてみる方法
-
〈IS〉問題のある構成部品の中から最も問題と思われる部品を,〈IS NOT〉問題のない
構成部品に組替えてみる。
これで問題が解決すれば,この組替えた部品に問題があることが分かる。そこで
今度はその良かった部品と,問題のあった部品の相違点をもう一度IS,IS NOTをや
れば簡単に原因を突き止めることができる。もちろん,一回で問題が突き止められ
ない場合がある。そのときは二番日に問題と思われる構成部品,それでダメならそ
の次とやって下さい。
- (2) 部品の差を比較する方法
-
〈IS〉と〈IS NOT〉の部品の相違点を徹底的に比較してみて下さい。相違点があ
れば,それが原因となっている場合が多くある。この場合一つの部品で結論を出さず,
不良現象にかかわる部品を数多く見ること。原因が複数の場合もある。
(1)と(2)を組合わせて見るのも良い。このやり方は私がKT法からもじって良く現
場で使うONE P01NT法でなかなか便利である。また皆さんもKT法にあるとは知らず
にやっていることと思うが,これからは問題解決に(不良対策や設備故障)どんど
んIS,IS NOTを使って効率の良い仕事をやって下さい。対策もコストのうろ,
短時間に正確にやること が大事である。