大変尾籠な話で恐縮であるが、しかし大変大事な話でもある。およそ動物の排泄物ほ
どその動物の体調の善し悪しを端的に表現するものはないと思う。そこで誰でもそうだ
と思うが、私は、毎朝排泄の後は(重ねがさね恐縮な事例で申し訳ありません)必ずよ
くそれを観察することにしている。色、固さ、量、比重、etcを見ることによって腹の調
子を判断できるからである。その結果で、飲食物の調整や必要に応じては薬を飲み、病気
になる前に手を打つよう心掛けている。
ところで、皆さんの造っている製品は作りっ放しになっていませんか。自分で成型し
たものが図面どおりの寸法に仕上がっているのか、バリや打痕はないか、切削したもの
の寸法や表面粗さはOKか、という具合に、でき上がった製品をよく見ることによって、
金型の摩耗の度合や、成型条件の善し悪し、工具の摩耗などがよく分かり、その結果
をいち早く工程へフィードバックすれば、不良の発生を未然に食い止めることができる。
不良品は受け取らない、造らない、渡さない、という大原則がありますが、自分で造った
もの(垂れた糞)をよく見ることにより、不良品を造らない、渡さないことに繋がって行
くのである。
そこで、垂れっ放しとならないために、具体的に監督者やQCのスタッフである皆
さんにお願いしたい。各ラインに赤BOX(不良品を入れる箱で赤に塗ってある)が設
置されている。この箱は単なる不良品の区分けや混入防止のために設けたものではない。
現場、現物、現実の管理図の役目をしている。赤BOXの中味(垂れた糞)をよく見ること
により工程内の様子がよく分かる。工程内に問題がなければ不良(悪い糞)はでてきません。
糞の状態や傾向を見ることによって工程のどこに問題があるか推定できるのである。
皆さんが職場を巡回するときには、必ず赤BOXの中味を手にとって見てください。またロッ
トの終わりには赤BOXの中味を整理してください。中味がそのまま放置されているようでは
表題で表現した“糞の垂れっ放し”である。そのうち突然体調を崩して重病人になってしまうであろう。