技術者の心得 : 製造技術に関する10ヵ条(その6)

物作りほど魅力と満足度を同時に味わえるものはない

西畑三樹男  森川 愼

金型の修正は必ず設計者を交えてやれ

 プレスやプラスチックやダイカストなど、金型を使った作業工程内で不良が発生し、 その原因が金型に起因していると分かったとき、皆さんはどうしているのか? 対策案を皆さん自身で立てたり、または生産技術に持ち込み、金型班の人と一緒に なって対策し、金型を修正していた。このとき、設計者を交えて対策を行っていたか。 ここがその会社の技術が伸びるかどうかの分かれ目である。
 作業者同士で修正してしまっては、問題となっている金型は確かに直るし、また それはそれで必要なことであるが、それだけでは問題です。次に追い型を作るときとか、 同種の金型を新作するときにまた同じ失敗を繰り返す危険性がある。
 昔と違って金型を作る人と、設計をする人が別々に分担する時代になっている。 金型を作る人は図面に忠実に造らなければならない。しかし設計者が問題となった箇所 を知らなければ図面に反映できる訳がない。設計者が製造現場でのKnow-Howをキチンと 把握して、今までの図面に反映し、次から描く図面にも落とし込んでいけば、日々技術 的に熟成された図面になって行き、結果として、製造現場としてもトラブルを起こさな い金型を受けとれるようになるのである。こうしてゆけば設計者も伸びるし、よい金型 もできるようになり、会社もますます発展するようになるはずである。
 今後金型に起因する問題が発生したら、金型設計者を交えて対策し、そのうえで即刻 図面に反映しておくこと。これを沢山積み重ねた会社がKnow-Howを沢山もった会社であり、 Know-Howを沢山もった人を育てることにつながる。
 また金型設計者はこのような失敗事例を蓄積し、Know-How集をつくって設計マニュ アルとしてほしい。