Tech301

技術者の心得 : 実験の進め方に関する10ヵ条(その2)

開発と実験には技術者が必ず通る道がある

西畑三樹男  森川 愼

実験項目の作成(報告書、技術資料、カタログのもととなる)

 小企業では、大企業に較べると技術者の責務はときには数倍にもなる。 開発から、製造、品質管理、営業、在庫管理から売り上げ、経常利益全般に 責任をもたなければならない。その基礎作りになるのが開発実験で、 これを担当することができる若手技術者は大げさにいえば幸福である。

 どんな小さな仕事内容でも、それを実行するには手順がある。 とくに商品開発のように成功、不成功が未知数なものほど、それを進める ための具体的な項目、手順を作成する必要がある。 これは、グループで行う場合でも個人でも自分なりに準備しておく。 このあらすじをできる限り、明確にしておかないと、途中で、失敗ややり 直しをするような場面に遭遇したとき、問題を解決することができにくく、 ときには始めからやり直しとなり、時間ばかりかかり、その成果がおぼつ かなくなる。

 例えば、その一例を「プリンタ用ばね」について述べると、
(1)材料の選定、(2)1次加工方法、(3)仕上げ加工、 (4)熱処理条件、(5)品質評価検査法、(6)標準作業工程、 (7)生産管理、不良率、(8)商品仕様書、(9)量産に必要な製造、 検査設備など、担当者が細かく整理整頓しなければならない。

 これだけの項目とその情報を頭の中に入れるには、毎日毎日、 ある一定時間を決めて行わないとまとめることはできない。 開発やその実験は技術者の勝負所である。