Tech309

技術者の心得 : 実験の進め方に関する10ヵ条(その9)

開発と実験には技術者が必ず通る道がある

西畑三樹男  森川 愼

実験結果の応用(ライバルは何かをよくみる)

 開発した商品が世の中で認められて、売れただけでその仕事が終ったものではない。 自分が時間と全知、全能をしぼって見い出した品物や、会社が売り出している商品に ついては、どうしてこのようになったのか、まず、系統立てた見方、考え方を身につ けることである。 それができるようになると、自分が社会の中にいる存在価値や開発 品の競争相手、所謂、ライバルがわかるようになる。そのことが苦労して積みあげた実験の応用である。

(イ)実験結果の応用を他の分野について考える。
 実験結果には、例えば、強い、弱い、脆い、粘い、摩耗する、腐食するなど、それぞれ、 比較対象とする性質が明瞭になる。したがって、この反対の結果や性質、現象などの利用 を逆な面から考えてみると、また新しい活かし方、応用がスムーズにでてくる。
 実験結果とは、大事に机の中に整理しておくものでなく、積極的に公表、売り出し、 つぎの価値を見つける基礎である。
(ロ)ライバルとなる物の性質を理解する。
 はじめ、想像したよりも良い実験結果が得られると、若いときは、鬼の首でもとった ようにそのよさばかりの面を押し出すようになる。それよりも、一呼吸して、ライバルは どこにあるのか、その相手の良さや性質、特徴を理解することである。